浅草仲見世通り



浅草仲見世通りのポンポン飾りを眺めていたら、
遠い昔を思い出しました。

それは、岩手の遠野小学校一年生の頃でした。

三時間目の授業に入って間もなく教室中に異臭がして、
誰かがざわざわと騒ぎだしました。

先生がしげる君をさっと廊下に連れ出して、
教室に戻るなり小声で私に、
「しげる君の家に行って着替えのパンツとズボンを持って来てくれる?」

しげる君の家と私の家はお隣同士です。

私は全速力でしげる君の家に行き、
お母さんからパンツとズボンをハァハァ言って受け取るや、
また全速力で学校に戻りました。

教室では何事もなかったかのように授業が始まっていて、
しげる君も落ち着いた顔で一安心です。

放課後先生が、
「優ちゃん。しげる君と一緒に帰ってあげてね」

パンツとズボンは洗濯済みできちんとアイロンがかけてあり、
それを私が持って二人無言で歩きました。

しげる君は、私より小柄でうなじも細くスネもか細い。

ひ弱な体に立派なランドセルがひどく重そうに見えました。

それから二、三回そんな事があったけど、
しげる君は学校を休まなかったし、いじめも無かった。

何時しかそんなことも忘れていた二月のある日、
しげる君のお母さんから私にお招きがありました。

暗い廊下を渡りおそるおそる襖を開けると、
満開の桜が目に飛び込んできてビックリ!

それはお部屋いっぱいの「みずき」に刺した紅白のだんご飾りたちでした。

「ワァーッ!春が来たみたい!」

豪華な雛壇迄しつらえてあって、
盆と正月が同時に来たかのよう。

広い座敷の真ん中に、
ぽつんと置かれた漆塗りのお膳にはご馳走が用意され、
私はちょこんと正座してご馳走を頂きました。

お給仕するしげる君のお母さんは薄化粧できれい。

しげる君が襖の陰から顔を出したけど、
照れくさそうに隠れてしまった。

浅草仲見世のポンポン飾りを眺めながら、
思い出を懐かしみました。

今年一年間、当ブログを訪問して下いましてどうも有り難うございました。

来年は皆様にとって穏やかで平和な一年でありますように。

にほんブログ村 美術ブログ 水彩画へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
アクセスカウンター
プロフィール

優

Author:優
水彩画を始めたあの頃の ワクワク感を忘れず
私らしい絵のスタイルを求め
日々挑戦したいと思います
過去の刺繍の作品も掲載しております

カテゴリー
月別アーカイブ
最近の記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
QRコード
QR
ブログ村
RSSフィード